2013/10/06 サイダーハウス・ルール(The Cider House Rules)

サイダーハウス・ルール(The Cider House Rules)は2000年日本公開、スウェーデンのラッセ・ハルストレム監督がアメリカで制作した作品である。何年か前に一度見てはいたものの、居眠りしていたのか孤児院の映画程度の記憶しかなく、ずっと気になったまま今に至っていた。たまたま監督の新作「セイフ ヘイヴン」が今月封切られるということもあり、今一度、今度はじっくりと鑑賞するべくDVDを借りてきた次第である。
後のスパイダーマン、トビー・マグワイアが孤児院で育った若者ホーマーを好演している、孤児院の院長にして堕胎医ラーチ役のマイケル・ケイン、リンゴ農園の季節労働者の頭(かしら)ミスター・ローズを演じるデルロイ・リンドーもいい。それにキャンディ役のシャーリーズ・セロンの美しいこと。堕胎という医療行為に予てから疑問を抱いていたホーマーは医師ラーチの助手という立場をすて、糧を得るためりんご農園の仕事に就く。サイダーハウスというのはリンゴ農園の労働者用宿舎のことで、部屋の壁に貼られた箇条書きの規則がサイダーハウス・ルールである。「ベッドでタバコをすわない」「酔っぱらって粉砕器を操作しない」「屋根の上で寝ない」など実に他愛のないものであるが、文字の読めない季節労働者たちはそれが何かを知らずに今まで過ごしてきた。新入りのホーマーが彼らに読んで聞かせて初めてそのバカバカしい内容を知る。作中、堕胎医のラーチは人生のルールは自分で決めろ。仕事を見つけろ。そして人の役にたてと教える。一見、修身の教科書のように聞こえるが、かりに法や常識に背いたとしても人の役にたつならば自分のルールで人生を歩めと言っているわけで、教えは過酷な側面もあり、なるほど登場人物は結構なアウトロー揃いでもある。監督ラッセ・ハルストレムは、おやすみ前の子どもたちに読み聞かせるように、この重いテーマを含むストーリーを静かに語ってくれる。
前作「My Life as a Dog」もそうだけれど、泣き喚くシーンも、押し付けがましいお涙頂戴もなく、しみじみとした余韻が残る。しばらくするとまた「メイン州の王子にしてニュー・イングランドの王」である孤児たちに会いたくなると思う。


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