2015/4/11 はじまりのうた

「はじまりのうた-BEGIN AGAIN」
ジョン・カーニー監督作品(2007年 ONCE-ダブリンの街角で)

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都心部では今日の新宿ピカデリーを最後に上映館がなくなってしまうので19時5分から1回こっきりの回に滑り込む。そもそもこの作品は公開当初全米5館でしか上映されず、その後クチコミで1300館にまで拡大公開され、さらには劇中歌「LostStars」は第87回アカデミー賞歌曲賞の候補にノミネートされたという異例の作品です。
私は未見ですが『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督作品。
聞くところによると低予算で作られた映画のようで、本編の内容も現実とそのままシンクロしています。

シンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)が音楽上のパートナーでもある恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)に捨てられた失意の中、ヒョンなことから友人の出演するステージにあがる。それを同じく失意のどん底で見ていた無一文の音楽プロデューサー ダン(マーク・ラファロ)に見初められ。お金もないし、スタジオもない状況で、ギャラは出世払いの約束でかき集めたスタジオミュージシャンや離婚した妻ミリアム(キャサリン・キーナー)の元にいる娘バイオレット(ヘイリー・スタインフェルド)まで引っ張り込んで、無謀にもNYの街中を移動しつつ野外で録音していくというストーリー(レコーディングに引っ張りだされた娘バイオレットの胸熱のベースプレイは必見です)。冒頭ライブハウスでのグレタとダンの出会い、突然のステージにとまどいつつ歌う彼女にキラリと光る原石を感じるや否や、かつて数々の栄誉を獲得した実は凄腕プロデューサー(だった)彼の音魂に火がつき、脳内でドラムが鳴り出し、さらにストリングス、コーラス、ピアノをグレタのボーカルに重ねていくという印象的なシーンがあって、アコースティックギター1本で自信なさげに歌う彼女の歌(観客の反応もいまひとつ)に幾重にも楽器が重ねられ圧倒的な訴求力を持って燦然と輝きだす。
音楽のリテラシーが低い(ないに等しいです)私にも、なるほどミュージシャンというのはこんな具合に音楽を聞いているのかと、束の間、アーティストのグルーブというものを疑似体験させてくれるシーンです。
ダンが音楽について語るシーンも辛うじてWALKMAN隆盛期に青春時代を過ごした私にとっては実感を伴って印象的でした。「風景に音楽を重ねる。すると、殺風景な街並や人々の表情が、輝き出す。」私も早速ダウンロードした「LostStars」を明日の風景に重ねてみることにしよう。「are we all lost stars trying to light up the dark.」
サウンドトラックに収録されているキーラの「LostStars」を始めとする楽曲はその時のダンのシミュレーションをそのまま追体験している気分にさせてくれるし、何より彼女の、ちょいハスキーでナチュラルな歌声に癒されます。


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